「相続」の根拠は?
相続の根拠として、つぎの3つのことがあげられます。
【1】 生活保障のため
国は、私人の生活条件に干渉しないという見地から、所有権を失った財産をただちに国庫に収納するのではなく、 財産の所有者及びその財産に依拠して生活してきた者にその財産を委ねています。 この相続により、被相続人の配偶者・子などは従来と変わりなく安心して生活できる基盤を保障されることになります。相続法は、相続による生活保障機能を、相続人の範囲や順位(民法886条から890条まで)、法定相続分(900条)、遺留分に関する規定(902条ただし書、1028条以下)によって担保しています。
【2】 取引安全の保障のため
取引の当事者が死亡したことにより、債権や債務が消滅してしまうとすれば、相手方は死亡という偶然の事情によって不測の損害を被ることになります。そこで、死亡によって相続が開始される(882条)と、相続人は被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すること(896条本文)として、相続に取引の円滑性・安全性を保障する機能を果たさせています。 もっとも、被相続人の一身に専属するものは相続されません(896条ただし書)。また、相続人の生活保障と第三者との調和を図った規定も(909条ただし書、1031条など)設けられています。
【3】 相続人の潜在的持分の実現のため
被相続人名義の財産といっても、その形成にあたっては、さまざまな家族の協力がなされているのが通常です。このことは、家族は相続財産に対して実質的に持分を有していると考えることができると言うことです。相続は、被相続人の財産に潜在している家族の持分を具体化する機能を果たします。相続人は、財産形成に対する自己の貢献が相続によって反映されるとともに、その生活を保障され、被相続人と一緒に築きあげてきた財産が受け継がれていくことになるのです。


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